第一回 ボーレタリア王城 1-1      
「激突! 赤目先生!」C




SYUKOOOOOOOO……
SYUKOOOOOOOO……



ボーレタアリア王城には、古の王が眠る王廟がある。なんでもこの王様、ボーレタリアの開祖でもあり、えらく強いという伝説が残っている。
この塔を見つけた時はファランクスを倒す前だったもんで、俺は「ティンッ」ときた。


王様→伝説→強い→装備品も伝説級!→この後も楽!→俺、復活!


……甘いって?
あぁ、そうでした。
俺が全面的に駄目でした、悪かったです。できるもんなら土下座して謝ります謝ります謝りますから。
「すんませんすんませんだから許してください赤目先生ーーー!」
姑息にも連続ローリングで逃げようとした俺は、赤目の騎士に後ろから槍に貫かれ一撃で死んだ。




< YOU DIED >



いやまあ、王廟ってんだから宝物庫みたいなもんで、そりゃ当然警備も厳重だったわけだよな。
で、その警備の騎士は当然強かったろうが、化け物になったらもっと強くなるよな。
王廟の前にいた騎士は、全身鎧に盾と槍を装備、そして目が赤かった。
それが王廟の扉の前に陣取っているわけだが、もう、遠くからでも聞こえんだよ、「シュコー、シュコー」って息遣いなんだか気配なんだか。
怖ぇぇ。
あの目、光るよ怖ぇよ。
この時、俺は別の世界にいる戦士たちからも警告の伝言をもらってたんだ。
『初心者は後で攻略すればいい』
ってな。
わりと強い青目の騎士を倒して調子に乗ったのがまずかった。
「いけんじゃん?」とか思っちまったわけだよ。
心が折れかけた俺は王廟探検を諦めたが、ファランクスを倒したことで事情が変わった。
な、なんと、ソウルと引き替えに俺の能力を伸ばせるようになったのだ!(誰が伸ばしてくれるかは後でな)
伸ばせる能力は色々あるが、まず俺は頑強(スタミナ)と体力(HP)に手持ちのソウルをつぎ込んだ。
草集めに駆け回って準備を整え、俺は再び赤目の騎士に立ち向かった……。




[只今戦闘中]


< YOU DIED >
< YOU DIED >
< YOU DIED >


まじか、途中で草食って回復しやがったよ先生!


< YOU DIED >
< YOU DIED >



「先生、後ろから切りつけてすみませえええんんん!」


GYAOOOOOoooooonnn……



「いやったああああああ! おっしゃあああああ!」
勝った! 勝ったぜ! 赤目先生、俺は今、あんたを越えた……!
あれだよ、相手の後ろにいかに回り込むか、って旋回性能が重要なわけだよ、脚回りをなめちゃいけねえよ。
あー、やばい。かなり嬉しい。
「感謝するぜ、赤目先生」
足下に倒れ伏す赤目の騎士に合掌する。
俺、あんたに戦いのなんたるかを教えてもらった気分だ。
「まいリスペクトてぃーちゃー♪」
鼻歌を鳴らし、俺はるんるん気分で王廟の扉 を引く。
がちゃがちゃ。
開かない。
「……あれ?」
押してみる。
がちゃがちゃ。
開かない。
……扉をよく調べてみた。
『閉ざされているようだ』
…………………………鍵、かかってたよ、入れねぇよ。
人生なんてそんなもんだよな、とほほ。
顔で笑って心で泣いて、俺は『楔の神殿』へ戻ることにした……。





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