第零回 「チュートリアル? 何それ、おいしいの?」




俺の名前はオーゾ・シャープ。
しがない一介の放浪者だ。
うちの一族は3人に1人が放浪癖持ちの、まあ、世間一般で言う『後ろ指さされ組』。
俺もその例にもれず、十五の頃からあちらこちらを渡り回ってるんだが、旅の途中でこんな話を聞いた。

「ボーレタリアが滅んだ」

まじかよ、って話。
ボーレタリアってのはわりと強国で、ソウルの業の巧みさで知られてる。
まさかとは思って話を聞くうちに、どうも本当らしいとなって、俺はびびったね。


「色のない濃霧がボーレタリアを包み、ある者はデーモンにソウルを取られて人でなくなり、ある者はソウルに飢えた者たちに殺された」


この話を伝えたのが、濃霧の裂け目から逃れた双剣のヴァルファラクス。
ボーレタリア随一を競う騎士の一人だ。
ヴァルファラクスが言うんだから本当だってことで、あちこちの聖者や魔術師がボーレタリアに向かったが、誰一人、濃霧から帰ってこない。
そのうち濃霧も広がりだして、ボーレタリアの周辺を飲み込んでいる。
このまま濃霧に喰われちまうんじゃって、田畑を捨てて逃げていく奴らも多い。



俺?



ちょいと不謹慎だが、こんなおもしろい話を逃すわけにはいかない。
装備をととのえ、さっそくボーレタリアの裂け目に向かったさ。







いや、あれって初心者にひどくね?


濃霧の奥、砦(?)にいた腹の大きな化け物(『拡散の尖兵』って言うんだと)に棍棒一発、俺はあっさり殺された。



 < YOU DIED >



やべー、腹が弾けてらー、と思いつつ、俺の意識が消えていく。


遠く、女の子の可愛い声を聞いた気がした。





ま、ここからが『本当のデモンズソウルだ』ってやつだな。








>第一回@

09.12.13