人々は噂を生む。
兵士は、女が"歪み"により正気を失ったのではないかと。
議員は、女はもはや軍務に着くことはないと。
市民は、女がすでに死んでいると。
男の部下は言う。
女は手厚く看護され、生命の危機は脱したと。
ただし"歪み"により右腕を切除、左足は付随であると。
人々は囁きを生む。
兵士は、女が"歪み"により面前に出られぬ姿になったのだと。
市民は、女が男の配下になったのだと。
女の部下は、左足は故意に潰されたものだと。
男の部下は言う。
女は小康状態のため公には立てぬと。
男は見舞いにしばしば訪れ、凶刃より庇われた礼を述べていると。
人々は想像を生む。
兵士は、女が騎乗することはもうないのだと。
女の部下は、女は監禁され自由はないのだと。
男の部下は言う。
女の療養には時間がかかると。
女の師団を、男が引き受けると。
人々はさまざまな声を生んだ。
脱稿 2004.11.13