metamorphosis -the decision period-

再会 2

 大海に浮かぶ島の名は、ダルジェン。
 遙か昔、天と地の神々の争いにより、大陸から切り離されたという。
 晴れた日は対岸に大陸を臨むこの島で、人々は深い森を切り開き、村や都市を作った。
 鳥が見下ろせば、森の海に小島のように浮かぶ、耕作地や城壁都市を見るだろう。
 大陸との交易港モイルッドに流れるのは、母なる河セカンナ。
 そしてそれを上流に向かえば、猛き王ランシスの居城が見えてくる。
 厚き壁、王の力の象徴、ウォルドラルド。
 セカンナ川を二つに割く巨大な岩盤の上に作られ、分厚い楕円の城壁と八つの塔でできた城。
 楕円の城壁の端はそのまま延びてさらに大きな楕円を描き、その内側に城下街を抱える。
 人口、およそ五千人。
 島中から呼び寄せられた職人や商人、傭兵や騎士、その他の者たちを含め、様々な住人たちが行き交う。
 ウォルドラルドは城の名であり都市の名であり、現在のダルジェンにおける最強の王が治める土地の名でもある。
 わずか5年で作られた、堅牢な城塞と街。
 しかしこの都市は今、その厚い壁の内側に奇妙な事件を抱えていた。


   

2010.03.09